ニホンミツバチ保護飼育 佐々木 伸一

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2021.01.15 オオスズメバチ 009番

2021.01.15 オオスズメバチ 009番

前回の続きです。
そのオオスズメバチ働き蜂の情報統括係が、
未明に地上が黒くて上空がブルーになる時、
現場に到着してどこに着地するのか?

昨日から上空とにらめっこして観察してましたが、
戦場の焦点が住宅二階の更に高い所の二階天井裏の換気口ですので、
そこを見下ろす高い木の枝の適当な場所はありません。

そもそも木は道路の反対側にしか高いのはありません。

では二階の屋根の上?
しかし二階の屋根の上からだと、ギリギリの所に不安定にへばりつかないとオオスズメバチは現場を見渡せません。
オオスズメバチの頭部の構造上、
顔の下半分は強力な大顎で遮られ、
視界は前方、
前側方、
前上方のみです。
首は可動域がとても狭いです。

ので、体ごと下を見下ろす必要があるのですが、
切妻型屋根の端っこからでは見下ろす姿勢は困難なのです。
なので、自分がそのオオスズメバチ情報統括係の視点に立って考えると、
おそらくこの位置に着地して現場を見るという場所を考え、一番確率の高そうな場所に罠を設置しました。

そして絶対にミスが許されないので、幾つか細工をしました。

その細工は、ここにも着地して見渡せそうだな、という場所にとまりにくくなる細工をしたり等々です。
これは逆をやればオオスズメバチがとまりやすくする、更にこれを工夫すればオオスズメバチを誘導したり呼んだりの「悪用されれば危険」な技術なので詳細は説明できません。

そして未明

成功です。

オオスズメバチの情報統括係を仕留めると後続のオオスズメバチ働き蜂達はまとまった意思行動に違和感を感じ、
さらに攻撃対象も認識できず、
結局仕事が無いので戦闘行動に移らず、
威嚇や探索もする事無く
聞こえる羽音はまばらで、しばらくして遠ざかるものばかりで、
オオスズメバチの襲撃チームは撤退したと判断できました。
安全は回復されました。


ちなみに失敗しますと、
失敗しても多くの場合オオスズメバチもヒマではないので、それでなくとも獲物不足なので早々に山へ獲物探しに切り替えて行きます。

しかし、失敗して最悪の場合、
前日のフェロモンの洗い流しが不十分だったり、
落下してるオオスズメバチの死骸が多く取り除けてなかったり、
人間の匂いを残してはいけない場所に多く匂いを残したり、
他にも何らかの理由で早朝襲来した「オオスズメバチ達が人間に獲物を横取りされた」と強く認識してしまった場合、
怒りに任せて現場近くの人間に対し威嚇や攻撃行動をとってしまう可能性がでてくるのです。

スズメバチは羽音で自分たちの感情を表すことがあります。
普段はブーンですが、怒りや威嚇はブーンの羽音のキーが高くなります。
人間の女性や子供のキーの高い声は、スズメバチ達からするとキーの高い羽音、つまり威嚇や怒りに聞こえる事があります。
スズメバチ(オオスズメバチに限らず)が怒っている時にそれを聞けば怒りを更に増します。
スズメバチに万が一襲撃された場合、女性や子供はキーの高い声(悲鳴)を出さず、黙って逃げるのが被害を抑える重要な要因の1つとなります。



獲物を横取りされたと認識して怒っているオオスズメバチが現場近くで女性や子供たちのキーの高い声を聞いた場合、
恐ろしい結果が待っているかもしれません。
状況のコントロールの目処がたたない場合、こういったオオスズメバチ絡みの難しい現場には手出しをしない事をおすすめします。

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