ニホンミツバチ保護飼育 佐々木 伸一

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2020.12.15 オオスズメバチ 006番

2020.12.15 オオスズメバチ 006番

続きです。

オオスズメバチは里山の昆虫の生態系の頂点に君臨するプライドの高い猛獣です。

今朝のキイロスズメバチの巣への襲撃が仮にオオスズメバチ30匹規模の集団攻撃だったとすると、

明日の朝の集団攻撃は倍の60匹規模の集団攻撃が行われる可能性もあります。(オオスズメバチの巣の規模や残存働き蜂の数、他のハンティングとの兼ね合いなどを朝の話し合いで巣の中で決めてから当日の行動を開始するようです)

なにしろエサ場である山には獲物が秋には極端に少なくなります。

それなのにオオスズメバチの巣は秋には一年で最大規模となり、多数の食い扶持(新女王蜂、雄蜂も含む)を抱え、獲物不足は深刻なのです。
そんなオオスズメバチにとって、キイロスズメバチの巣の中の沢山のキイロスズメバチのサナギや幼虫は是が非でも欲しい獲物なのです。

オオスズメバチは獲物を直接成虫が食べる事はしません。
仮に食べたとしてもウエストが極端に細い為、固形物はお腹に入って行けないのです。

獲物は巣に持ち帰り幼虫に与え、オオスズメバチの成虫はその際に幼虫の唾液をもらい、その唾液を食料として生きています。

オオスズメバチの集団攻撃は、よく観察してると多くの場合「集団?」と思う程統制がとれてないようにみえます。
「三々五々」といった方がより当てはまる印象を受ける事が多いです(襲撃の時期、段階にもよります)。

オオスズメバチは強力な戦闘能力を持つ重たい戦車のような奴らなので、
実はスタミナが無く(遠くまで飛び続ける巡航能力はそれなりですが、戦闘ではギヤをローに入れダッシュや噛みつき組み付きを繰り返すので燃費が一気に悪化します)

多くの敵を相手に戦う事が予想される現場では、オオスズメバチ多数が同時に統制され襲いかかると、
その後に多数がほぼ同時にスタミナ切れをおこし、
せっかく拓いた突破口や押し込んだ戦線を、
スタミナ切れ同時撤退により失う戦力の空白(キイロスズメバチに対する戦闘圧力の無くなる時間が出来てしまう)が発生するのを
経験則として学んでいるがゆえの戦術のようで、とても賢い生き物なようです。

なので戦力の逐次投入というキイロスズメバチへの圧力の切れ目の発生しにくい、
人間の目からは一見すると愚作と思えるやり方を、ベターなやり方として採用してるようです。


とりあえずの今日の安全は確保したのですが、
獲物の欲しいオオスズメバチ側の事情から、
明日にはまた危険が繰り返される可能性はとても高いと思われます。

キイロスズメバチの巣のある換気口の隙間のサイズによっては、更にその危険な日が何日も続く事も予想されます。

ところで、
そのような状況下で、安全策の重ねがけや絶対の安全処置が取れない場合、上記の処置は実施してはいけません。
小さな子供がいる現場では、尚更やるべきではありません。

このような事態の場合、下手に手を出すとオオスズメバチの怒りを買い事態の悪化が容易に想像でき、
少しのミスで作業員や住人に重大な被害が発生するからです。
オオスズメバチはとても賢く、獰猛な上に自由に空を飛び回る猛獣です。
もし、このような状況下となった場合、しばらく離れたお宅へ避難してオオスズメバチがキイロスズメバチの巣から獲物を運び出すのを待つのが良いと思います。

続きます。

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