ニホンミツバチ保護飼育 佐々木 伸一

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2020.07.15 二ホンミツバチ 007番

2020.07.15 二ホンミツバチ 007番

困難な分蜂群の収容作業の実例

2020年の3月26日11時半頃、
ある御宅に設置させていただいてる20180409収容群保護飼育巣箱から第一分蜂群がでて巣箱の前の梅の木の枝に蜂球となりました。

最初の第一分蜂群は大抵11時から13時の間に出てくるのが毎年通例なので、
雄蜂の飛んでるこの巣箱はマークしておりました。

11時45分頃現場に到着と同時に枝の蜂球を発見しました。

ですが、

何かがおかしい…
蜂達が妙に落ち着きなく、なんとなくまとまりもない。

女王蜂とはぐれた無王群など、何かのトラブルの予感がヒシヒシ感じられました。

元巣箱の方も、出入口付近にお尻を立てて仲間を呼ぶフェロモンを出している働き蜂が多数見えます。

こういう時に焦って蜂球を回収するとろくな事が無いと自分の経験から判断

しばらく様子見してましたら蜂球は13分程で皆元の巣箱に帰還していきました。
いったん分蜂で巣箱を離れ蜂球となったニホンミツバチ達が元の巣箱に戻るなんて前代未聞で初めてみました。

しかし、現場で生で見ていたとはいえ、ニホンミツバチ達は下で見ている人間の目を欺く賢さがあります。

数百匹の働き蜂を囮に使い人の目につくコースを何度も飛び、女王蜂を伴う本隊は羽音を消し人間の視界の死角からいったん高度を上げてコッソリ移動するというやり方をよく使うのです。

ニホンミツバチ達は一匹一匹はとても小さく(体長1センチくらい)、上昇して高度をとると下にいる人間からは空の青さにまぎれてすぐに見えなくなるのです。

万が一の為、帰還の確認に巣箱の重さを量ると17.65キログラムで
昨日の14時頃の重さが17.85キログラムなので、蜂球はほぼ元巣箱に戻ったようです。

26日の夜から雨降りの予報なのに第一分蜂群が無理に出て来たと言うことは、もしかして巣箱の中で次の新女王蜂の羽化が間近に迫っているのかもしれませんね。

そんな中、翌日、翌々日と雨天が続き、ようやく29日晴れ間がのぞきました。
が、気温が低い…

自宅巣箱前の温度計は13℃を示してましたが、吹く風はもっともっと冷たく感じます。

それでも午後になって分蜂開始の兆しがみえましたが、自分が巣箱に近付いたせいなのか働き蜂達はすぐにおさまってしまいました。
そして30日、気温は上がらないものの午後からは陽射しも照らし、
昨日と違って風も弱く今日こそは出てくると思ったのですが…今日も出ず。

結局31日となりました。
設置しているトレイルカメラの10時24分定時撮影画像がスマホに届き(赤外線センサーは感知出来ず)、それを見ると既に分蜂が出た形跡が見えました。

現場に到着すると26日と同じ枝に大きな蜂球が形成されてました。
約1.6キログラムある大きな分蜂群です。

なのですが

また蜂球がなにかおかしいです。

元巣箱を見ると26日同様に出入口で働き蜂達がお尻を高く上げてフェロモンを放ってます。

しばらく色々考えた末、
26日よりはかなり蜂数(働き蜂達の数)多いし、26日よりは落ち着いてるので巣箱を準備し蜂球の収容を開始しました。

が、やはり働き蜂達の反応は違和感ありありでおかしい
…高音の羽音の連鎖は一斉に飛び立つきっかけになってしまうので、
そうなると収拾がつかなくなるので、
高音の羽音の波を開始しようとしたら低音(自分の喉の奥で鼻を通す感じで出します)を被せて働き蜂をごまかします。
これは上手にしないと働き蜂達の冷たい視線を浴びるハメになります。

高音の羽音の連鎖とは別に、先に飛び立って煽る働き蜂も出て来ます。
蜂球の働き蜂や収容中の働き蜂が反応すると厄介なので、霧吹きの水(水道水です)を収容してる巣箱まわりらへんの中空にシュシュとして収めます。

働き蜂に直接吹きかけるのは極力避けた方が良いです(いじめられてると勘違いされない為)。

大きい蜂球の収容は取っ手付きのタッパーが軽いし扱いやすくて適してると思います(最近は素手での収容は効率が悪いのでやらなくなりました)。

ただし深いタッパーだと蜂球をすくった時にちぎれた蜂球がボトンとタッパーの底に落ちて働き蜂達が傷ついたりしますので底にスポンジ等を入れると良いです。
自分はコンビニ袋をタッパーに被せ、コンビニ袋の張りを指で調整してクッションにしてます。
ボトンと落ちると女王蜂がまきこまれてると働き蜂がかなり怒りますので注意です。

順調に蜂球を巣箱へ収容してましたが、やはり何か違和感があります。

働き蜂達は暗い所へ入ろうとする習性があるので、
巣箱の出入口にタッパーから出してやれば皆続々と巣箱の中へ向かうのですが、
その巣箱の中へ向かう働き蜂達の波が変なタイミングで止まったりするのです。

うーん…?
と思いながらも働き蜂達に大人しく巣箱へ入って行くようにと言い聞かせ、
働き蜂達をタッパーから巣箱出入口に降ろす際に飛び回る働き蜂が最小限になるように調整しながら作業し、
2往復で8割程度巣箱へ移ってもらった所で、元巣箱の計量をしました。

16.05キログラムで前日から1.6キログラム減ってるのでこの巣箱から出た第一分蜂群で間違い無い事を確認し、
何気に視線を家の壁に下の方に移した時ふと気づきました。


家の壁に何故かニホンミツバチ女王蜂が!!
気付いて本当に良かったです。

しかしこのニホンミツバチ女王蜂、
体毛のフサフサ具合から一瞬王台から羽化した新女王蜂が分蜂騒ぎにつられて出て来てしまったのか?と焦りましたが、
お尻の黒さから越冬女王蜂とわかりました。

ので、壁の女王蜂を片手で優しく捕まえ、手の平に乗せ手をグーにして逃げられないようにして収容巣箱の第一分蜂群働き蜂達の元へ持っていきました。

画像はその時の写真で、よく見ると群にかえされたニホンミツバチ女王蜂の姿も写ってますね。
この直後ニホンミツバチ女王蜂は巣箱の中へ入っていきました。
写真でもわかる通り、無理に収容してた働き蜂達は不安定で巣箱の外に大量に連なってる有り様でした。

女王蜂が分蜂群の働き蜂達と合流し巣箱に入ったおかげで、この後しばらくして巣箱外につらなってた働き蜂達は全員巣箱内へ入り、

元巣箱の出入口にてお尻を高く上げてフェロモンを放ってた働き蜂達もそのうち解散してくれました。


この第一分蜂群収容巣箱は、3月収容群という事もあり、ほぼ確実に孫分蜂するので、そうなると不安定となりやすいので自宅に設置しました。

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