ニホンミツバチ保護飼育 佐々木 伸一

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2020.06.25 二ホンミツバチ 005番

2020.06.25 二ホンミツバチ 005番

春の桜が満開な頃、ニホンミツバチ達はその生態においてとても大切なイベントを行います。
それは分蜂(ぶんほう)という行動です。(写真は空を乱舞し木の枝にとまって蜂球となりつつあるニホンミツバチ分蜂群達)

悠久の進化の過程で社会性を勝ち得た社会性昆虫の中では分蜂という行動は割りとみられるもので、
日本国内では他の社会性の蜂達にはみられないのですが、
海外ではヤミスズメバチや一部のアシナガバチなどに分蜂する種がいます。

分蜂とは、繁栄している1つのコロニー(群)から約半数の働き蜂を引き連れて既存の女王蜂が出て行き新な場所に営巣場所を求める習性の事です。

既存の女王蜂は分蜂で出ていく前に、巣に残る半数の働き蜂達の為に新な女王蜂の卵を王台に産み付けています。

残された働き蜂達はこの新たな女王蜂が羽化して出てくると、これを中心にコロニーを形成し巣を盛り立てていくのです。

ただ、羽化したばかりの新女王蜂はそのままでは「働き蜂」の卵を産む本来の役割は果たせません。

お腹が大きくて飛ぶのが上手ではない女王蜂にとって危険な巣の外に一人で出て交尾飛行に行き、雄蜂から一生分の精子をもらって来なければならないのです。


春先で捕食系の強力な昆虫達(トンボやアブやスズメバチやクモなど)がまだ少ないとはいえ、ツバメやカラスなどは容赦なく襲い掛かってきます。

いつも思うのですが、巣の中の働き蜂達は自分たちの群の生死を左右する大切な新女王蜂が危険な飛行に出るのに、何故に護衛について行かないのでしょうか?

100匹程度でも直衞に付けば新女王蜂の帰還生存率は相当上がるのではないかと思います。

分蜂の時の空一面にトルネードの様に働き蜂の大群が女王蜂をエスコートしている姿を見るにつけ、その差に疑念を感じたりしてます。

さて、分蜂は桜が咲いて1週間後に出てくると古くから言われています。
これは日本列島各地にてそれぞれほぼ共通な経験則からのいわれなようです。(開花から1週間なのか、満開から1週間なのか聞く人によりまちまちだったりもします)

その年の最初の分蜂は大抵の場合まだ外気温度が低く、太陽が高く登って暖かくなってきた11時頃から13時にかけての時間帯に出てくるのが殆どです。

その最初に出てくる分蜂群は一般に第一分蜂群と呼ばれその巣で越冬した女王蜂が出てきます。

この第一分蜂群は巣箱の主に前方数メートルから遠くても10メートル程度の至近距離の安定してとまれる木の枝などにいったん集まり、蜂球と呼ばれるニホンミツバチ達の密集した集団となり大人しくなり動きをとめます。

そして蜂球から偵察蜂を四方八方に放ちその帰還報告を待ちます。

巣箱の前方にとまるのに丁度いい枝などが無い場合は遠くにとまる場所を求めていってしまいますので、
第一分蜂群を確実に回収したい場合は巣箱近くに適当なとまり場所を作っておいてあげるととまってくれる可能性があります。

第一分蜂群は比較的低い場所にとまる事が多く働き蜂の数も多い場合がおおいので見つけやすく、収容は比較的容易です。

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