ニホンミツバチ保護飼育 佐々木 伸一

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2020.06.15 二ホンミツバチ 004番

2020.06.15 二ホンミツバチ 004番

働き蜂同士のコミュニケーション行動は、巣箱の出入口付近に近寄って観察していると割りと様々なものを見ることができます。
冬場の観察は、ニホンミツバチも昆虫なので寒い時は機嫌が悪くなりがちなので注意しましょう。
単純に外勤の働き蜂が帰宅して巣箱の出入口に到着した際、門番の働き蜂が触覚を近付けたり頭をくっ付けたりしてコミュニケーション(敵味方識別や危険物チェック)したり、
巣箱内から内勤働き蜂がゴミや体調が良くない幼虫を捨てに出てくる時複数の働き蜂で出て来たり、
何故か出入口付近で内勤働き蜂が外勤働き蜂から花蜜の受け渡しを受けるのに呼び止められたり、
八の字ダンスを出入口の外で始めたりするのも見た事があります。

他にも結構煩雑に働き蜂同士で様々なコミュニケーションをとっているのが見てとれます。
それぞれの働き蜂が様々なコミュニケーションを雑多に行う様子は、まず巣箱のニホンミツバチ達に警戒を解いてもらうとより観察しやすいです。

ニホンミツバチが「人になれた状態」というのは、巣箱の側に寄っても通常通りの作業を働き蜂達が気にせず行う状態の事で、いわば無視された状態です。
なれてないと人が巣箱に近寄ると、まず門番が、次いでベテランの働き蜂が出入口付近からこちらをガン見してきます。
羽をそれぞれ広げ威嚇のポーズをとり何時でも飛び立って反撃できるぞ!!と睨んでくる(写真参照)のです。
この時下手に誤解を与えるような行動(攻撃に見える行動)をとると一斉に飛びたちワンワンと威嚇音の羽音を立て怒りを表現します。
それなのに人間が退かないと目の前でホバリングして毒針を見せて威嚇したり、ポンポンと体当たりしたりします。
それでも人間が退かないと、いかに穏和なニホンミツバチであっても最終的に「巣の防衛」の為に毒針で刺してきます。
そうならない為に「攻撃に見える行動」を控えるのが大切です。(素早い動きや巣箱に手をかけようとする動き等)
ニホンミツバチは基本的に「防衛」の為にしか毒針を使用する事はありません。
では、巣箱のニホンミツバチ達と仲良くなるにはどうしたら良いのでしょうか。
自分のやり方は、まず巣箱の横に何もしないでしばらくいる時間を作る事です。

回数を重ねれば「この人間は側にいても何もしない」ことを賢いニホンミツバチは学習してくれます。
何日も何度も巣箱の側に訪れると、最初は羽を広げて体を立たせ睨み付けて来ていた働き蜂達の羽も徐々に広げなくなり、そのうちベテランも門番も駆けつけなくなり、ニホンミツバチ達の通常の営みを見せてくれるようになります。
この巣箱のニホンミツバチ達と仲良くなる事のちょっとしたコツがあります。
そのコツは春先が一番やりやすいです。
なぜ春先かというと、春先はまだまだ大気の気温が低く、変温動物の昆虫の仲間であるニホンミツバチはその寒い大気の中頑張って採蜜、採花粉、採水などの仕事に飛んで行き、巣箱へ帰りつく頃には体力的にも疲れきってます。
更に体温もかなり低下している事が多く、可哀想な事に巣箱出入口に着地するのにちょっとした風など、なんらかの理由で着地に失敗してしまい付近の地面などに降りてしまうと再び飛び立つ気力もなく寒くて死んでしまう事が多々あります。
春先に巣箱の脇に行くと、これらの地面等に降りてしまった働き蜂をよく見かける事になるので、これらのうちまだ生きてる個体を潰さないよう優しく拾い上げ、手のひらに乗っけて手をグーにして包み暖めてやり、しばらくして動けるようになったら巣箱の出入口に直接下ろしてやるのです。
これを何度かやると、門番が羽を逆立ててた状態だったのがすぐに警戒を解いてくれるようになった事が何度もありました。
「あの人間がなんか助けてくれたで」と巣箱の中で働き蜂同士でコミュニケーションとってくれてるのかも知れませんね。

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